KEMURI「Little Playmate」のレビュー



タイトル:Little Playmate(リトル プレイメイト)

アーティスト:KEMURI(ケムリ)

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

リトル・プレイメイト [ Kemuri ]
価格:2000円(税込、送料無料) (2019/3/26時点)

概要

日本のスカパンクバンド「KEMURI」の1stアルバム。1997年6月21日にロードランナジャパンよりリリース。

日本で結成後、アメリカに渡り、向こうのレコードレーベルに売り込みをかけるなどし、ASIAN MAN RECORDSのマイク”ブルース・リー”パークのサポートを経て完成したアルバムだそうだ。

当時盛り上がりを見せていた国内メロコア、スカコアシーンに彗星の如く現れ、アメリカ逆輸入の看板を背負って、確かにサウンドもどことなくカリフォルニアをイメージさせる向こうっぽい音で、瞬く間に日本でもヒットとなったのはもう20年も前なんだね。ちょっと暑苦しいFumio Ito氏のボーカルもカラッとしたサウンドに乗ると不思議と爽快に聞こえるから面白い。
そしてロードランナーと契約したので、日本版もロードランナージャパンからの発売って事ですね。CDの帯にカタカナで曲名リストが書かれているのもなんか向こうのアーティストの輸入盤みたいで雰囲気出てた。

「P・M・A(Positive Mental Attitude)」という彼らの座右の銘というか、肯定的精神姿勢って意味らしいけど、そんなスタンスも後に流行る青春パンクなんてクソみたいなものじゃなくて生き様というか、マジでアメリカいって売れちゃうんだ、っていうやれば出来る的な意味も当時感じて説得力があった。

メンバーが死傷する悲しい事故があったり、2007年に解散したりと暗い時代を経て、2012年に再結成し、今年(2017年)もアルバムをリリースするなど精力的に活動する彼らのスタートとなった一枚。

勝手なレビュー

1曲目「New Generation」

泣きメロ度3 速さ4 カッコよさ5
1曲目に相応しいちょっと切なくも明るい高速スカコアナンバー。
まくしたてるような向こうっぽい早口英語に、多分これは正しい発音っていうか、正しいメロディへの英語の乗せ方なんだろうな、と当時英語なんてさっぱり分からないのに思った物でした。
タイトル通り、当時のメロコアキッズ達も、このKEMURI自身もニュージェネレーションだったわけで、そんな当時の勢いを感じさせる一曲。


これ最近の映像だけど、昔より断然カッコいいじゃねーかよ!!

2曲目「Knockin' On The Door」

泣きメロ度5 速さ4 カッコよさ4
Aメロがメロコア調な高速パンクで、サビでスカになるという、正にスカパンクといった欲張りな一曲。

3曲目「Prayer」

泣きメロ度4 速さ3 カッコよさ4
高いキーで歌うAメロが爽快なスカコアナンバー。
当時PrayとPlayの違いが分かんなくて、辞書ひいてあーなるほど、と思った記憶が。まさかその十数年後、哀しい意味でPrayという言葉を何度も聞くことになるとは思いませんでしたが。
Pray For Tibet、Pray For Japan...

4曲目「Workin' Dayz」

泣きメロ度3 速さ3 カッコよさ4
ノリノリなホーンセクションとキャッチーなメロディにスカビートが絡み合う一曲。
確かこれ当時PVがあったハズなんだよなぁ。ビデオ星人かなんかで絶対見た記憶がある。フミオがなんか曲に合わせてスカダンスみたいにカクカク動いてたような気が。YouTube探したけど見つかんない。あぁ、ビデオ星人録ったビデオ、捨てないでDVDに焼き直しとくんだった。

5曲目「Rainy Saturday」

泣きメロ度5 速さ4 カッコよさ5
メロコアっぽいイントロで始まり、ギターとうねるベースラインのスカ調なAメロとなり、サビで一気にギターが歪みメロコアビートで突っ走るカッコいいスカパンクナンバー。
「雨の土曜日」と聞いてイメージするような感情と曲を聞いて感じる感情に大きな乖離が生じない、哀愁系スカパンクナンバーですね!

6曲目「Circle Of Life」

泣きメロ度3 速さ3 カッコよさ3
何か最初の方で聞いた曲にも似ているオーソドックスなケムリらしいスカナンバー。サビはなぜかロック調。
悪くは無いんだが、他が良曲揃いのこのアルバムの中ではどうしても相対的に捨て曲みたいに感じてしまう。

7曲目「Sun Set」

泣きメロ度0 速さ1 カッコよさ4
パンクではなく、スカです。これスカです。スカコアでもスカパンクでもなく。インストナンバーでもあります。
でも不思議と聞いていられるいい感じの曲となっています。まさにサンセットと言った感じの。楽器隊の本領発揮といった所でしょうかね。

8曲目「Live Up To Ya Rights」

泣きメロ度4 速さ3 カッコよさ4
ジャジーな展開のスカビートがカッコいいダークなナンバー。
「YOUR」を「YA」にしたり、この曲じゃないけど「DAYS」を「DAYZ」にしたり、本当向こうっぽいよなぁ。
この当時まだHIPHOPの連中もそんな英語の使い方してなかったんじゃない?国内メロコアバンドは言うに及ばず。
今じゃありふれたカッコつけ方なんで見慣れましたが、当時はこれが強烈にアメリカの本物っぽさを醸し出してたんだよね。

9曲目「Don't Know」

泣きメロ度3 速さ3+ カッコよさ4
ノリノリな速めのスカコアナンバー。
なんかすげー向こうのバンドっぽいよなぁ、って思ってたら、作詞作曲がマイク・パークじゃん。そりゃ本物だわwww

10曲目「Ato-Ichinene」

泣きメロ度4 速さ3+ カッコよさ5
後のKEMURIの代表曲とも言える感じになっていく、全編日本語のナンバー。神曲。
うねりまくるベースラインにスカビート、かっちりしたホーンセクションがカッコいい。日本語詞だがまるで英語のようにまくしたてて、ケムリの曲として成立している。
イントロの「♪kaasan no te wo nigirishime maturibayashi no・・・」ってとこでもう鳥肌立ったキッズは多かったハズ!

11曲目「Mercy」

泣きメロ度3 速さ3 カッコよさ3
普っ通ーな感じの漂うスカナンバー。これも前曲が良すぎてどうしても捨て曲っぽくなってしまっているのが玉にキズ。

12曲目「Givin' Up」

泣きメロ度3 速さ4- カッコよさ4
早口でまくしたてるケムリらしいスカパンクナンバー。
早いテンポで突っ走り、2分を待たずに終わってしまうが、忙しい展開のお陰でそんな短時間とは思わせないほど満足度の高い1曲に仕上がっている。

13曲目「Yellow Survivors」

泣きメロ度4 速さ3 カッコよさ5
どことなくメロディやホーンセクションがちょっとKEMURIの他の曲とも似ているが、マイナー調のコード進行と「黄色の生き残り達」というタイトル、歌詞の翻訳なんかを見るに、きっと単身アメリカに乗り込んで、日本人、というかアジア人として何か感じる事が多かったんだろうなー、という事を考えた。
ケムリをプロデュースしているマイク・パークが韓国系アメリカ人だし、そういったアジア人の葛藤とか差別なんかを押し出して活動しているから、そんなのも多大に影響してるんだろうとも考えられるね。

14曲目「On The Street 」

泣きメロ度5 速さ4 カッコよさ5
こちらもジャジーというか、マイナー調なダークなカッコよさが支配する高速スカパンクナンバー。
この哀愁漂うメロディなのに応援歌っぽいパンクなヤル気が出てくるような曲はケムリの独壇場だよね。
後に出てきた青春パンクなんて甘っちょろいもんに比べたらやっぱ背景も精神性も違うもんね。

MELOCOREPUNK.COM管理人の感想

当時逆輸入バンドとして現れ一世を風靡した「KEMURI」の記念すべき第1作。

アジアンマンレコードのマイク・パークのサポートで、結局その後現在までアジアンマンとは蜜月な彼らだが、そんなわけで向こうっぽさプンプンなのに、なんだか日本人的なマインドをすごく感じる、良い意味で暑苦しいバンドだな、ってキッズだった当時管理人は思ったわけなのですが、きっとそれはKEMURIの狙う所でもあったんだろうな、なんて思う。
どの曲を聞いてもそんなKEMURIの世界観が伝わってきて、タイトルとか歌詞の翻訳を見ても曲調とマッチした感あって、実はとんでもないバンドなんじゃないの?って改めて思うわけです。

日本人のやるパンクってコレが一つの回答なんじゃないか、って気にさせてくれる彼ら。もちろんそこには韓国系であるマイク・パークの考え方の影響も多分に入っているんだろうが、というか、ケムリの思想とマイク・パークの波長が合ったとも考えられ、まあくっつくのは必然だったのか、って気もする。
日本からこんなバンドが出た事は誇りに思っていいことだと思いますよ!

ジャケット内のSPECIAL THANKSに(彼らはTHANK YOU & GOOD LUCK! LOVE,PEACE,&PMA!と書いているが)、まあ今ではメジャーなスカパンクバンド達が列記されているんだけど、その中に「LA-PPISCH」ってあって、当時の管理人はこれを見て、小さい頃レピッシュが流行ってたのを覚えていたので、え?凄いんじゃない?って思ったのを覚えてる。


そういやレピッシュも紛う事なきスカだもんね。

まあそういう訳で、もうこれ彼らKEMURIが熱狂的なファンを獲得している理由がわかる、その原点となる一枚ですよ。
キッズも中年も、悩んだら立ち止まって、とりあえず一回コレ聞けば落ち着くんじゃね?そんなアルバムだと思います!褒め過ぎかな。